~木とふれあい、木に学び、木と生きる~
徳島県で木育に取り組んでいる人を紹介するコーナーです。
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『江淵鏡台店』代表取締役社長 江淵達人さん
現代によみがえる遊山箱文化
屋号からも分かるとおり、『江淵鏡台店』は鏡台を専門に製造する会社として85年前の昭和12年に創業。「当時は嫁入り道具として鏡台の需要があり、二大産地であった静岡と徳島を合わせて年間100~120万本、徳島だけで25~27万本が作られ、職人も4,000人ほどいたと聞いていますが、鏡台の需要が減った今では職人の数も30人ほどになってしまいました」。時代とともに移り変わるニーズに合わせ、今では仏壇の製造が事業の大半を占めるようになったが、その一方で遊山箱の組み立てや絵付けの体験ができる教室も平成19年から行っている。「元々は徳島藩の造船所にいた船大工が内職として机や水屋を作っていたそうで、遊山箱もその一環として作られていたのではないかと考えられます。遊山箱という文化が注目されるようになっても、作る人がほとんど残っていませんでしたから、最初はコレクターの方から古い遊山箱を借りて、それをお手本とすることで比較的すぐに同じようなものが作れるようになりました。木工作業自体が鏡台より簡単というのもありましたが、そもそも手軽に作れるからこそ昔の人々に広く親しまれたという面もあるんでしょうね」。
遊山箱が世代をつなぐ
遊山箱教室が行われるのは公民館などが中心で、これまでの参加者は8,000人にも上る。若い世代は遊山箱を初めて見るという人も少なくなく、親子で参加した人がうまく作るために一緒に考え協力し合う姿を見たり、完成した遊山箱を持って祖父母とどこかへ出かけたという話を聞いて、遊山箱が世代間のコミュニケーションに役立っていると感じたという江淵さん。「東京の展示会で同じ弁当箱として輪島塗りや曲げわっぱと並んだ時、遊山箱は価格が高く産業として成り立つとは考えにくかった。それでも教室で遊山箱作りを楽しみながら木に親しむという形で、この文化を残していくことは必要だと思います」。
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江淵さんが行う教室(1人4,400円)では、職人が組み立てた遊山箱に絵付けをする体験が人気だが、希望すれば組み立ての段階から自分ですることも可能。日曜に各地の公民館などで開催されているが、日程が合わない人は前日までに予約すれば『江淵鏡台店』でも個別に対応してくれる。
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『江淵鏡台店』に併設された『阿波鏡台歴史館』には、年期の入った家具や遊山箱をモチーフに色付けされたコンパクトな仏壇が並ぶ。
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遊山箱の材料はヒノキやスギ。「ヒノキを使うのは、造船で出た端材を利用した名残なのかもしれません」。
DATA
有限会社江淵鏡台店
tel.088-622-1314
徳島市末広1-1-40
営/9:30~18:00
休/日曜、祝日(遊山箱教室の予約があれば対応)
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