仕事を辞めても社会とは繋がっていたい
保育士として子どもたちと向き合いながら社会貢献を続けてきた濵さんは、退職を機におもちゃ学芸員養成講座を受講しました。
「仕事を辞めても社会との繋がりは持っていたかったんです。切り離されるのが怖くて…というのは大袈裟ですけど」と、冗談交じりに笑いながら話してくれました。
保育現場で培った子どもへの声掛けや関わり方などの経験を活かせることが多く、表情豊かで褒め上手な濱さんのもとには「いっしょにあそぼう!」と子どもたちが集まってきます。
来館者との思い出について尋ねると、濱さんはその情景を思い出しながら嬉しそうに顔を綻ばせていました。
「ゲームひろばで男の子と[ラッシュアワー]をして遊んで盛り上がったこともありましたね。褒められて気分が上がったみたいで、とても喜んでくれました」
ほかの車をどう移動して駐車場を整理する? 論理的思考で問題を解決する力を育む人気の思考型パズルゲーム。
濱さんが来館者におすすめするおもちゃは[飛んでキャッチ]と[おかえりどうぶつはうす]。
「飛んでキャッチ]は小さい子どもから遊べ、家族連れに人気があります。
「遊んでいるご家族から歓声が湧くんですよ。子どもよりも大人の方が夢中になってしまいますね。」と濱さんは楽しそうに話します。
一方、[おかえりどうぶつはうす]は動物の積み木や絵本のイラストが可愛く、小さい子どもや女の子に人気があり、可愛さに惹かれておすすめするようになったそうです。
シーソー部をたたくと人形がジャンプして、黄色い玉に「ピタッ」とくっつく。ほどよい力加減がポイント! 黄色い玉の位置が高くなるほど難しくなる。
絵本と木のパズルが組み合わさった子どもの感性を育てるおもちゃ。大人が絵本を読み聞かせながら、一緒に組木で遊ぶことで、子どものコミュニケーション力も身に付く。
サークル活動で広がる人との繋がり
おもちゃ学芸員の活動は、来館者におもちゃの遊び方を伝えるだけではありません。濱さんは「手芸部」と「チームOrigami」に参加し、サークル活動を通じて手先を使う作業や折り紙のスキルアップを楽しんでいます。
「手芸部では遊山箱に入れるおかずやおやつをフェルト生地で作ったりしました。チームOrigamiでは折り方を教えてもらって仲良くなった人もいます。同じことを一緒にしながらだと話しやすくて仲良くなりやすいと思います」
好きなことや得意なことを活かせ、まだお話したことがない人ともコミュニケーションが取れるため、サークル活動はおもちゃ学芸員の楽しみの一つにもなっています。
また、おもちゃ学芸員サークルによる館内イベントも定期的に行われ、いつもとは違うカタチで来館者との交流を楽しむこともできます。
おもちゃ=子ども、じゃない!
第10期おもちゃ学芸員養成講座では、ベテランの濵さんが先輩おもちゃ学芸員インタビューに参加し、受講者からの質問に答え、おもちゃ学芸員のやりがいについて話していました。
「私も養成講座で岡田さん(東京おもちゃ美術館ディレクター)の話を聞き、いろいろな遊び方があることを知り、おもしろいと思いました」と振り返っていました。
例えば、今回の講座で紹介された[スティッキー]。前の職場でも使っていたという濱さんお気に入りのおもちゃだそうです。
リングにカラフルなスティックをセットしたらゲームスタート。崩れてリングが地面についたらゲームオーバーになる。
サイコロを振り、出た色のスティックを引き抜いて遊ぶものですが、自分たちでルールを考えればもっと遊びの幅が広がります。
一例を挙げると、サイコロは使わず、次の人に「薬指と親指で赤色を引き抜く」と指定する遊び方もできます。遊ぶ相手によって難易度をコントロールできるので、小さな子から大人まで楽しめるゲームです。
最後にどんな方におもちゃ美術館に足を運んでもらいたいかを聞いてみました。
「おもちゃ=子ども。ってイメージがありますよね。だけど、ここにはいろいろなおもちゃがあります。例えば、手先を使うおもちゃは小さなお子さまだけでなく、ご年配の方にもいいと思います。幅広い年代の方たちに遊びに来てもらいたいですね。あと、いろいろな個性を持った子どもたちが気兼ねなく遊びに来れる場所になればいいなと思います」
─────────────────
おもちゃ学芸員とは…
来館者にワクワクとドキドキを伝える「おもちゃ」と「遊び」の伝道師です
─────────────────
おもちゃ学芸員を募集しています
おもちゃや遊びを通して徳島県の魅力を伝え、国産材の木のおもちゃをはじめとする、さまざまな優良なおもちゃとお客さまを繋ぐ架け橋として、おもちゃと遊びの案内人となっていただくおもちゃ学芸員を募集します。おもちゃの使い方や、お客様に館内の説明をするだけでなく、地域の豊富な自然や文化を伝える伝道師として活躍いただける方、何よりも子どもと接するのが好きな方のご応募をお待ちしております。
Comments