~木とふれあい、木に学び、木と生きる~
徳島県で木育に取り組んでいる人を紹介するコーナーです。
第四回『小石製作所』代表 小石宗右さん
始まりは我が子へのプレゼント
手のひらに馴染むコロンとした形、クラシカルな角張った形…。4種類のボディが用意された車のおもちゃは、どれも本体にタイヤを組み合わせただけの、極めてシンプルなつくり。
「自分の子どもが生まれたときに車のおもちゃを買ってやろうと思って探したんですが、大人の目から見て家に置いておきたいと思えるものが見つからなかったんです。それを当時勤めていた『宮崎椅子製作所』の社長に相談したら、会社にある端材や機会を使っていいと言ってくださって、試作品を作り出したのがきっかけです」。
独立した後、細部を改良して完成させたのがこの[THIS IS VEHICLE(ジズ イズ ヴィークル)]だ。
こだわりの詰まった小さなクルマ
木で作られた車、それ自体は何ら珍しいものではない。「普通のおもちゃは、2本のタイヤに穴を空けて軸で繋いでいますが、もしタイヤが軸から外れると、小さな子どもが誤飲する恐れがあります。だから[THIS IS VEHICLE]はひとつの木材からタイヤと軸を削り出して、そのままボディに組み込んでいるんです。そうすることで壊れにくくなるし、手で押して走らせたときの滑らかさも大きく違ってくるんです」。本体と車両の組み合わせには椅子づくりのホゾ組みで学んだ技術を応用し、「入るけど外れない」という絶妙な寸法にコンマ数ミリ単位で調整。表面には舐めても安全な蜜蝋で仕上げるなど、子どもが使うことを前提とした数々の工夫が施されている。
「もうひとつこだわっているのが“造型”です。いかにもな子どものおもちゃではなく、子どもが使わなくなっても家にインテリアとして残しておけることも考えて作っています」。何十年が先に、昔遊んでいた懐かしい木のおもちゃが実家から見つかる、そんな喜びも見据えてこの車は設計されている。
「もちろん、買ってくださるすべての方にそれを意識してもらう必要もないと思っています。“なんとなくいいな”から、木のおもちゃに親しんでもらえればうれしいですね」。
[THIS IS VEHICLE]はどれも1台4,180円。樹種はフォールナットなど5種類ほど。立体感を出すため、ボディとタイヤで異なる樹種を組み合わせるのがおすすめ。
精度と担保する工作機械。それぞれがユニットバスほどの大きさがあるが、これでも工作業界で使われる機会としては小さい方だとか。
[THIS IS VEHICLE]はすべて、木工所から出た端材で作られている。本来ならお金を払って処分されるものだけに、お互いにとってWin-Winの関係ができあがっている。
DATA
小石製作所
tel.090-8384-9137
徳島県板野郡北島町鯛浜字原140-6
休/日曜
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