G-L61JKD798K とくしま木育 もくもく日誌③
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とくしま木育 もくもく日誌③

~木とふれあい、木に学び、木と生きる~


徳島県で木育に取り組んでいる人を紹介するコーナーです。

『てるぺん工房』代表 田上幸輝さん



小さな椅子から何ができる?


 「これを4つ使って、家を作ってみてください」。そう言いながら田上さんが手渡してくれたのは、木で作られた手のひらサイズの小さな椅子。ところが並べてみたりひっくり返してみたり、あれこれ考えてもなかなか家の形にはなってくれない。

「実はこの問題に決まった答えはありませんし、見え方も人それぞれ。でも子どもは自分なりに考えていろんな家をサッと作って見せてくれますし、いくつも組み合わせて動物やロボットなど、私が想像もしていなかったものを作って驚かせることもあります」。田上さんの考案した[不思議な椅子]は、おもちゃであると同時に、いわば発想の柔軟さを推し量るバロメーターでもあるのだ。



木に触れることで育つ意識


[不思議な椅子]が作られているのは、上勝町で田上さんが営む『てるぺん工房』の一角。ここに集められた県産の杉材が椅子の材料だ。「この椅子の座面の厚さは、脚の長さと同じ。そして椅子の脚と脚の間隔は、2本の脚の太さと同じになっているんです」。なるほど、組み合わせてみれば、田上さんの言う通りピタリとはまる。上から下へ徐々に厚くなっていく背もたれも含め、あらゆる寸法が組み合わせの自由を楽しめるよう計算されているのだ。

上勝町で林業を営む家に生まれた田上さんは、徳島商業高校を卒業した後に東京のデパートや月ヶ谷温泉の支配人などさまざまな仕事を経験するうち、「今の教育に足りないのは“体験”だ」と考えるように。そこにボランティアで先生をしている知り合いから「国産の木を使ったおもちゃを安く作れないか」と相談されたのが、開発のきっかけだったそう。試行錯誤を経て10年前に完成してから徐々に認知度が高まり、グッド・トイ2020を受賞。現在は子どものおもちゃとしてだけでなく、会社の研修の一部として新たなニーズも生まれつつある。「日本は先進国の中ではフィンランドに次ぐ2番目の森林大国。木や水を大切にして、子や孫の世代に木の文化や関わり方を残していこうという意識を、この椅子で育んでいきたいですね」。



[不思議な椅子]はウェブサイトのほか、『徳島木のおもちゃ美術館』や『阿波おどり会館』などでも購入可能。組み合わせを楽しむには40個セット(1万780円)がおすすめ。


繊細な工作が必要なため、制作用の機械から田上さんが自作。小さな子どもでも安心して遊べるよう、仕上がりは一つひとつ人の肌でチェックする。


「幼稚園や保育所、リハビリの現場などでも使っていただきたいです」と話す田上さんと販売促進・企画開発担当の阿佐さん。




DATA

てるぺん工房

tel.0885-46-0288

徳島県勝浦郡上勝町旭葛又121

営/10:00~18:00

休/不定休

P/有

Instagramは「terupen_chair」で検索


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